幼なじみの彼とわたし
1月

side 亜衣紗

年末になり、遥ちゃんと一緒に地元に帰ってきて実家まで送ってくれた時に、遥ちゃんが付き合うことになったことを両親に報告してくれた。

昔からよく知ってるし、親同士も仲よくて顔なじみなのに、改まって「よろしくお願いします」と頭まで下げてくれて。


「やっとかぁ。長かったなぁ」
「ほんとほんと。それより本当に亜衣紗でいいの?遥平くんならもっと見た目…、とかね、いろいろいい人がいるでしょ?」
「亜衣紗は自分の子だからかわいく思えるが、やっぱり一般的にはちょっと…な?」
「そこはお父さんに似たからしょうがないのよ」


あれ?
笑顔は笑顔だけど。
これ、喜んでくれてるんだよね?


思わず、「ちょっと!」と体をのりだして話を中断させる。


「違う、と思ったら、早めに手放してくれていいからね。でも、やっぱりわたしとしては、できたら遥平くんが亜衣紗を幸せにしてくれたら嬉しいかな」


遥ちゃんのほうに体を向けて話すお母さん。

ちょっと、手放してくれていいって。


「遥平くんなら何の心配もいらないな。でも、こんなんで遥平くんは本当にいいのか?」


急に真顔になって話しだすお父さん。


こんなんって。
わたしを作り上げたのはお父さんとお母さんじゃない。


それに対する遥ちゃんの反応を見たくて、遥ちゃんの顔を見てみる。


「おじさんおばさん。亜衣は僕にとって昔からかわらず一番大切な人だから。僕から手放すつもりもないし、僕も見限られないようもっと頑張るつもり」


そして、ひと呼吸おいて「だから、また改めて挨拶に来させてください」とお父さんとお母さんの目を見て言ってくれた。
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