幼なじみの彼とわたし
千尋は手で顔を覆いながら頭を横にブルブル振っている。

わたしのせいではなさそうだけれど、この状況に頭がついていかない。
とりあえず、おしぼりを渡すと受け取った千尋は目元におしぼりを当て、少しずつ落ち着いてきたようだった。


「いやー、ごめんね」

「いや、わたしはいいけど。びっくりしたよー。どうしたの？」

声をかけると。


「タクと別れた。先週」

予想外の一言。


タクとは、千尋が社会人になってすぐくらいに付き合い始めた彼氏だ。
３年以上つきあっていたはず。


「え？タクくんと？いやいや、、、え？信じられないんだけど」

イチャイチャっていうイメージはないけれど、お互いのことよくわかっていて、見るたびにお似合いの二人だと思っていた。


「わたしもまだ信じられないんだけどね。このままタクと結婚するって思ってたし、結婚するならタクしかいないと思うくらい好きだったし信じてたんだけど」

あぁ、だからさっきわたしが言った『同期が結婚して…』の言葉が引き金となってしまったのか。。。


「話聞くよ？」

こういう場面にあまり出くわしたことがないから、聞いていいものなのか、そっとしておいてあげたほうがいいものなのかわからない。
けれど、話すことで消化できたり気持ちが整理できるのであれば、吐き出させてあげたい。
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