お前が好きだなんて俺はバカだな
白昼夢
「...っ...!?」

難しそうな本を読んでいる先輩にぎゅっとしてみたら、想像以上に驚いた反応をされた。

「...なんだよ急に。」

「たまには、私から甘えさせてくださいよ。」

「...。」

「なんでそういう微妙な顔するんですか。」

「まだ、心の準備ができてなかったから。」

「そんなもの必要ありません。」

「ある。」

「...んもう...。
とにかく、何て言っても離しませんから。」

「なんで...。」

「そんなに嫌ですか。」

「...調子狂うんだよ。」

「そう言われたって、今日は先輩のお家で2人きりなんですよ。
それなのに、先輩はずっと本読んでるなんて...。」

「別にいいだろ。」

「よくありません。」

「...そうやってむきになられると、余計意地悪したくなるんだよな。」

「んなー!
先輩のばかー!」

私を見下ろして、先輩は軽く笑みをこぼした。

「どうして笑うんですか、こんなに真剣なんですよ!」

「だからだろ。」

「先輩ひどい...。」

「...。」

「先輩...?」

先輩の深い瞳...。

その手が頬にあたって...優しく撫でられる。

...。
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