お前が好きだなんて俺はバカだな
喧嘩
最近、やっとあったかくなってきた。

こういう季節になってくると、授業中すごく眠くなってくる。

真面目には受けてるつもりなのに...。

「先輩は、そういうときありません?」

昼休み。

屋上で先輩とご飯タイム。

先輩は、購買のパンをいくつか買って食べている。

美味しそう。

「俺はそもそも授業なんて真面目にきいてないから。」

「え、それでどうやっていい成績とるんですか?」

「俺は理解力が違うからな。
教科書か問題集でも見ればすぐに分かる。」

「へー、天才ですねー。」

「そんなことより...。
聞き捨てならねえな。今の話。」

先輩、なんか時代劇の怖い人みたいな言い方...。

「え、先輩...何がですか?」

「授業中、眠くなるって話。」

「だって仕方ないじゃないですか...。
ちょうど窓側の席なんです。日の光が当たって眠くなっちゃうんです。
先輩より授業態度はマシでしょ?一応聞こうとはしてるんですし。」

「そんな言い訳、俺には通じない。」

「え。」

「いいかげんにしろ。」

そこまで言う...?

「あの、先輩...。」


「授業中寝るなんて良い加減にしろ。
俺以外に寝顔なんて見せてんじゃねえよ。」


へ?

「先輩、今なんと?」

「俺、一度もお前の寝顔みたことないんだぞ。」

「はあ...。」

「それを、教師やクラスのやつはただで見られるわけだろう。」

「いやいやいや!
私の寝顔なんてわざわざ見る人いないですよ。」

「無意識にでも視界に入る可能性があるんだろ。それはフェアじゃない。」

ど、どういう心配...?

「先輩...一応大丈夫だと思います。」

「なんで?」

「私、寝るときは、腕でこう...顔見られない感じで寝るんで。」

「...。」

先輩、これで納得してくれたかな。

「でも、眠たいときはうつらうつらしてるわけだろ。」

そうきたかー。

「そんなこと言い出したら、キリがないと思うんですけど...。」

「お前ひとつ飛び級でもしてくんない?」

「無理です。日本に飛び級制度はありませんから。」

私がはっきりそう言うと、先輩はムッとした顔をして、私の頭をくしゃっとした。

「...やめいっ!」

「お前、やっぱ腹立つわ。」

って、言いながら先輩笑ってる。

先輩の怒りのツボがよく分かんないだけなんだけどな...。
< 44 / 335 >

この作品をシェア

pagetop