カッコウ
いつだって大翔と悠翔は、6才と3才のまま、孝明の心の中にいたから。

街を歩いていて、その年頃の男の子を見ると振り返ってしまう。

どんな風に成長していくのか考えてしまう。

ずっと側にいて見届けられなかった悲しみは消えない。
 


本当にこれで良かったのだろうか。

あの日から何度も繰り返す同じ思い。

孝明がみどりを許して、同じ生活を続けることはできなかったのだろうか。

でもどんなにみどりを愛していても、許すことはできなかった。
 
愛しているからこそ許せない。

大翔が孝明の子供じゃないことを、みどりはずっと知っていたから。

あの日、診察室でみどりの凍りついた顔を見てしまったから。
 
大翔が小さい頃みどりはいつも何かに怯えていた。

大きな秘密を抱えていたのだから。

正面から孝明と向き合えるはずがない。

孝明はそんなみどりに不満を感じていた。

もっと対等でいたかったから。
 
もし孝明がみどりを許したなら、みどりは孝明に一生負い目を感じるだろう。

今は孝明に感謝をしても、いつか無理がくる。

そんな関係は誰も幸せにしない。
孝明は自分の出した答えは最善だったと信じた。

とりあえず目の前のことを頑張ろう。

そのうち、少し前が見えてくる。

徐々に遠くまで見えるようになるだろう。

今は、そう考えるしかないから。
 
 



< 118 / 137 >

この作品をシェア

pagetop