カッコウ Ⅱ
「お父さんも、俺のこと知ったとき苦しんだよね。ずっと自分の子供だと思っていたんでしょう。お父さんも辛かったよね。」

大翔の目から次々と涙が流れる。
 
「ヒロは優しいな。こんな時、お父さんのことを考えられるなんて。ヒロの優しさはお父さん譲りだね。」

少し目頭を押さえて哲也が言うと、
 
「血が繋がってなくても?」

と大翔はハッとした顔で聞いた。
 
「そうよ。血が繋がってなくてもヒロ君のお父さんは一人じゃない。ヒロ君に優しさを教えたのはお父さんだもの。」

エプロンで涙を拭いながら由美が言う。
 
「ありがとう。お休みなさい。」

大翔は立ち上がって2階の部屋へ向かう。

見送る哲也と由美は切なく顔を見合わせた。

大翔が感情を表せたことを良かったと思いながら。
 


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