私の仮恋人は親友のお兄さん
「俺が
俺の考えで麗華と別れた

それだけだよ」

瀬戸内くんが口を開く
その顔はとても寂しそうだった

「本当にいいの?」

「いいよ
あんな麗華は好きじゃない」

「ちょっと!
私を陥れたのね

大勢で寄ってたかって
私を苦しめるつもりね」

廊下に出てきた麗華さんが
大きな声で怒鳴った

瀬戸内くんは振り返ると、
麗華さんに歩み寄って

頬をたたいた

乾いた音が
廊下に響いた

「被害者ぶるのはやめなよ
麗華によって苦しめられてきた
人間がどれだけいたか
覚えている?

よく復讐されなかったよね?
麗華はもうお嬢様なんかじゃない

この学校を出ていくのは
麗華のほうだから」

瀬戸内くんは
廉人さんと久我っちに
お辞儀をすると
廊下を歩いていった

「意味がわからないわ」

ふんと麗華が横を向いた

強がっていても
目には涙がたまっていた

「追いかけないと
もう瀬戸内に会えないよ」

廉人さんが口を開いた

「はあ?
私があんな男ごときを追いかけるですって

馬鹿にしないで」

「君のお父さんの会社
倒産したよ

明日の新聞で一面に載ると思うけど」

え?

「倒産?」

麗華さんが驚いた声をあげた
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