夏色メモリー【完】



「ねえ、矢野さん。この古文分かる?」


「えっと、それはね……」



文系な私と、理系な川藤くんはお互いがお互いの弱点を教え合えるというメリットがあった。



「矢野さん、教えるのうまいね」



私のノートを覗き込んでいる川藤くんと目が合う。

少し背を丸め、上目遣いの川藤くん。

その視線にドキッとして、目を逸らした。


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