太陽 ~出会い~

母さん

「じゃあ…さっそく、母さんに会いにいってくるわ。いるか分からんけど」

「うんっ…いってらっしゃい!!頑張って」

「うん」

そう言って日向は部屋から出て行った。今まで見たことないような笑顔で。

それが私に向けて笑った、最初で最後の日向の最高の笑顔だったのかもしれない。



―――その頃、日向は。

「…あの」俺は、先生たちの部屋を訪ねた。

「…はぁい?」先生から返答がきた。

「入ります」  ―――カチャン…

俺は部屋を見渡した。母さん…母さん。

いた。

「母さん、ちょっといい?」

「いいわよ?」

俺たちは部屋を出て、人通りのない廊下に出て足を止めた。

「それで?何?あなたから呼び出すなんて変ね。まぁ嬉しいけど…?」

「母さん。俺、今からお前んとこ帰れへんから」

「何の話?」

「母さんは俺とちゃんと向き合おうとして追っかけてきたんやろ?連れて帰る気してたんやったとしたら、俺は帰られへんから。」

「…そうね。わかってくれて、ありがとう。…うん、わかってくれただけで嬉しいわ。もともと連れて帰る気だったけど、あなたがそう言うなら。」

「ありがと。」

「ん…じゃあ…頑張ってね。もう、放っておいていいのね?」

「うん。俺は1人で…ううん、施設のみんなと頑張って生きていくから」

「わかった。でも、いつでもお母さんに頼っていいからね?」

「わかったって。ほら…さっさと出てけ」

「はいはい…祐樹。頑張るのよ?」

「…ん。」

そう言って俺は母さんと別れを告げた。

「あら、もうこんなに暗いわね?もう…冬になったのね」

玄関を出た母さんはそう言った。

「そうやな。途中まで送ってくわ」

「ありがとう」

俺達は駅に着くまでずっと無言で歩き続けた。
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