太陽 ~出会い~

日向の事情

「ただいまぁ~♪」

「おかえり、唯ちゃん、学校どうだった?」施設長が駆け寄ってきた。

「最高で~す☆」

そう言って部屋に向かった。

皆笑顔で向かいいれてくれて…ほんと、学校行って良かった。

そんなことを思い出しながらニヤけていると、ドアの前に、朝なれなれしく話しかけてきた向居…由梨だっけ、その人がいた。しかも泣き崩れちゃってるし?

「あの…邪魔なんですけど」

私が話しかけても無視しやがる。

「ちょっと?聞いてんの?!」

また無視する…何コイツ…誰よぉ…

グイグイと手で押しのけた。そうすると顔をあげてハッとした。

「ねぇ、唯ちゃんここの部屋?!ねぇお願い、開けて?!先生を入れて?!祐樹と話をさせて?!お願い、お願いよぉ…」

「祐樹…?日向のこと?」

「そうよ、ねぇ…」

「ちょっと待って、落ち着きなよ?」

子供がいい大人にこんな事言うなんて妙におかしい雰囲気よね?

「無理、落ち着けないわ…祐樹ぃーーー!!」

「もお!!あんた大人でしょ?!邪魔、どきなさいよ!日向…私、開けて?」

そう言うとカチャンと音がした。

「祐樹ぃ?!何で?!」

私はこじ開けて、部屋の中に入り、すぐに鍵をかけた。

「おかえり」

「ただいま!!ねぇ、あの人なんなの?意味わかんないんだけど…知り合い?」

「母さん」

「へ…?お母さんなの?!何でここに…っていうか若いし…」

「何でここにいるんかはわからへん。アイツ、若くして俺産んでて、父さんに逃げられて離婚して育てきれずに俺置いてったんやって。施設長に聞いた。」

「そ…なんだ…、それじゃ会いたくないよね。でも…あの人すごい迫力」

「やろ?気持ち悪くて部屋も出れへんっての」

「あはは…だね」日向の気持ちはわからないこともなかった。

「でも…このままアイツがあそこにいたら…困るよなぁ」

「うん…どうにかして…ここから出て行ってくれないかな?」

「…俺、こっからどっか違う施設に移してもらおっかな」

「…え…?」せっかく、せっかく仲良くなれたと思ったのに。嫌だ…嫌だ、そんなの…。
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