異世界でお菓子を振舞ったら、王子と竜騎士とモフモフに懐かれました
* * *
次の日、私はスイーツが詰め込まれた大きなバスケットを持って、王宮に出かけた。
自分で辻馬車を拾うのは初めてだが、なんとかなった。馬車酔いも、二回目だから慣れたのだろうか。さほどつらくはなかった。
今回はアルトさんのお迎えはないが、門番の人に話がいっているようで、名前を言ったら通してもらえた。
「おお、来たか」
「エリーちゃん、待ってたよ」
庭園ではアルトさんとベイルさんが出迎えてくれる。休憩中らしき騎士団の人たちも、あちこちに散らばっていた。
「エリーちゃんに言われたようにセッティングしてみたんだけど、これで大丈夫かな?」
「はい、バッチリです! ありがとうございます」
庭園の、噴水の見える一等景色のいい場所。そこは昨日と一変して、ガーデンダイニングになっていた。
真鍮製のテーブルと椅子が何脚も並べられ、テーブルクロスがかけられている。その上には、ティーセットと食器、そしてお花。
「お前が説明していた三段重ねになったお皿、王宮の厨房にあったぞ。外国の商人から買ったらしいんだが、何に使うかわからなくてずっとほったらかしだったらしい。俺にもどう使うかわからないのだが、これで合っているのか?」
アルトさんが用意してくれたのは、前世でもよく目にしたアフタヌーンティースタンド。この国にはないかも、と思いつつお願いしたのだが、見つかったなんてうれしい。
「はい、ありがとうございます! これで理想のお茶会が開催できます!」
「お茶会?」
聞き慣れない言葉のように、ふたりは首をかしげた。
そう、スイーツがないこの国には、おやつの習慣がなかったのだ。休憩時間や、お客さまが来たときにお茶を飲んだりはするけれど、お茶請けはない。
騎士団のような屈強な男たちの集まりだと、温かい紅茶をカップで飲む、ということもせず、樽に入った水を飲むだけで水分補給が終わっていたらしい。
ちいさなお菓子をつまみながら、おしゃべりに花を咲かせる。もしくはひとりの時間、ちょっといいお茶とケーキでひと息をつくとか。そんな楽しみがないなんて、もったいない!
「これからスイーツを盛り付けていきますね。ベイルさんはお茶の準備をお願いします」
「わかった」
「俺はどうすればいい?」
「えっと、じゃあ騎士団の人たちを席につかせてください」
バスケットの中には、軽くつまめる焼き菓子がたくさん。昨日家に帰ってから、一晩かけて準備したものだ。
次の日、私はスイーツが詰め込まれた大きなバスケットを持って、王宮に出かけた。
自分で辻馬車を拾うのは初めてだが、なんとかなった。馬車酔いも、二回目だから慣れたのだろうか。さほどつらくはなかった。
今回はアルトさんのお迎えはないが、門番の人に話がいっているようで、名前を言ったら通してもらえた。
「おお、来たか」
「エリーちゃん、待ってたよ」
庭園ではアルトさんとベイルさんが出迎えてくれる。休憩中らしき騎士団の人たちも、あちこちに散らばっていた。
「エリーちゃんに言われたようにセッティングしてみたんだけど、これで大丈夫かな?」
「はい、バッチリです! ありがとうございます」
庭園の、噴水の見える一等景色のいい場所。そこは昨日と一変して、ガーデンダイニングになっていた。
真鍮製のテーブルと椅子が何脚も並べられ、テーブルクロスがかけられている。その上には、ティーセットと食器、そしてお花。
「お前が説明していた三段重ねになったお皿、王宮の厨房にあったぞ。外国の商人から買ったらしいんだが、何に使うかわからなくてずっとほったらかしだったらしい。俺にもどう使うかわからないのだが、これで合っているのか?」
アルトさんが用意してくれたのは、前世でもよく目にしたアフタヌーンティースタンド。この国にはないかも、と思いつつお願いしたのだが、見つかったなんてうれしい。
「はい、ありがとうございます! これで理想のお茶会が開催できます!」
「お茶会?」
聞き慣れない言葉のように、ふたりは首をかしげた。
そう、スイーツがないこの国には、おやつの習慣がなかったのだ。休憩時間や、お客さまが来たときにお茶を飲んだりはするけれど、お茶請けはない。
騎士団のような屈強な男たちの集まりだと、温かい紅茶をカップで飲む、ということもせず、樽に入った水を飲むだけで水分補給が終わっていたらしい。
ちいさなお菓子をつまみながら、おしゃべりに花を咲かせる。もしくはひとりの時間、ちょっといいお茶とケーキでひと息をつくとか。そんな楽しみがないなんて、もったいない!
「これからスイーツを盛り付けていきますね。ベイルさんはお茶の準備をお願いします」
「わかった」
「俺はどうすればいい?」
「えっと、じゃあ騎士団の人たちを席につかせてください」
バスケットの中には、軽くつまめる焼き菓子がたくさん。昨日家に帰ってから、一晩かけて準備したものだ。