保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。

「ごめんね。俺が上着でも持ってればよかったんだけど」

「意味わかんないよ。なんで夏目くんが謝るの?夏目くんがこの雨降らせてるならわかるけど」

「いや、まぁ、」

正直、変な妄想を勝手にしてしまったやましさから出た謝罪でもある。

ていうか、なんで、やましいなんて思わなくちゃいけないんだろう。

さっきから、罪悪感、とか。

変だな。

健全な男の子が可愛い女の子を見てそういう欲望に駆られるのは自然なことじゃん。

それを俺は人より少し我慢できないってだけで。

その気持ちが悪いことだなんて今まで思ったことないのに。

「夏目くんも寒いでしょ。半袖」

「そーでもないよ」

「え、」

「寒くなくなる方法があるの。知りたい?」

「……いや、別に」

俺の言いたいことを察したのか、郁田さんはすぐに答えて目を逸らした。
< 123 / 335 >

この作品をシェア

pagetop