保健室で寝ていたら、爽やかモテ男子に甘く迫られちゃいました。
離さないで

菜花side


天井先輩から聞いた話が色々と衝撃的で、頭の中を整理することに時間がかかる。

台風みたいな人だったな、天井先輩。

突然現れて、ずっとしゃべり続けていて。
かと思えば、あっという間にいなくなって。

でも、先輩のおかげで、改めてちゃんと、夏目くんを知れた。

夏目くんったら、私に保健室で初めて会った時、

そういう欲が人よりも我慢できないのは体質とかなんとか言ってたけど、全然違うじゃん。

夏目くんの心にポッカリ開いてしまっていた穴を、その触れ合いで必死に埋めようと、

天井先輩や私に触れることで埋まるものなんだと、まるで自分自身にいちばん言い聞かせてたみたいな。

今思えばそんな気がする。

引っかかっていたいろんなことが、天井先輩のおかげで一つずつ徐々に溶けていって。

少し温くなったココアに口をつければ、「はぁ……」と自然にため息が出た。

そういえば、天井先輩、帰り際なんて言っていたっけ。

『スマホ見てごらん』

あ、そうだ。
スマホ。

思い出して、すぐにカバンからスマホを取り出した。
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