Bitter Sweet
7月。



「夏休みに三者面談をします、そのために進路希望調査を書いてもらいます、まだ1年生なので決まっていなかったら志望校を書かなくていいですが、もし決まってたら書いてくださいね〜、提出日は少し早いですが来週月曜日です。」



夏休み入ってすぐに陽の川高校は三者面談がある。



進学校だから1年から志望校や成績について詳しく話す。


蓮斗も私のクラスだから三者面談しなければいけない。


ってことは蓮斗の親が来るってことか…


お母様が来るのかそれとも校長が来るのか…


たぶんお母様だろうな…


そういえば、蓮斗と高校卒業後何したいとか聞いたことない。



でも、蓮斗は理系だから理系の学部に行くんだな〜とは思う。


次泊まる時にでも蓮斗に聞いてみよう。


今週は蓮斗の家。


私の家は学校からまぁまぁ近いから蓮斗の家で泊まるのがほとんど。バレないために。


「蓮斗は進路決まってるの?」


「へ?」


蓮斗がハンバーグを頬張りながら反応する。


この反応だとなにも決まってないみたい。


「進路どーするのーーー」


「今先生って顔してるね、俺まだ決まってない」


「やっぱ…」「って言うと思った?」


「おぉ?」


「建築家になりたい」


「意外!」


「意外でしょ?建築学科に行こうと思ってる。お母さんも賛成してる。」


「お母さんと話してるんだ、電話してるところ見たことないから」


「お母さん仕事ばっかりで電話が夜遅いからじゃない?」


「そうなんだ…、あ、三者面談ってお母さん?それとも…?」


「お母さん来るよ、あいつが来るわけない、捨てたんだから」


「あいつって…」


「咲良ちゃんにとっては校長だけど俺にとっては一応血が繋がってる父親だから。」


「そうだね」


「咲良ちゃん、ハンバーグもう1つ食べていい?」


「いいよ、フライパンにあるから」


もうこれで蓮斗はハンバーグ5つ目だけど。


まぁ、美味しく頬張ってくれているからいいっか。
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