ノクターン
学生時代から康平は、明るく大らかな性格だった。
面倒見もよく、飲み会で酔い潰れた仲間をいつも最後まで介抱していた。
社会人になって細やかな気配りもできるようになった。
仕事でも業績を上げているらしい。
康平の告白を受け入れた時、私の中には小さな打算があったと思う。
24才という微妙な年齢で付き合う人だから、将来 結婚する可能性も意識していた。
康平は勤務先も性格も 結婚相手として申し分なかったから。
当然、打算だけでは彼を受け入れることはできない。
好意があっての打算だけれど、その好意は、胸が締めつけられるような熱いものとは違っていた。
今、智くんに感じているような。