ノクターン

学生時代から康平は、明るく大らかな性格だった。

面倒見もよく、飲み会で酔い潰れた仲間をいつも最後まで介抱していた。

社会人になって細やかな気配りもできるようになった。

仕事でも業績を上げているらしい。
 



康平の告白を受け入れた時、私の中には小さな打算があったと思う。

24才という微妙な年齢で付き合う人だから、将来 結婚する可能性も意識していた。

康平は勤務先も性格も 結婚相手として申し分なかったから。
 


当然、打算だけでは彼を受け入れることはできない。

好意があっての打算だけれど、その好意は、胸が締めつけられるような熱いものとは違っていた。



今、智くんに感じているような。
 
 
< 20 / 270 >

この作品をシェア

pagetop