ノクターン
7時前に チャイムが鳴った。
「お疲れ様」急いでドアを開ける。
智くんは、狭い玄関先で私を抱きしめた。
「狭いけど、どうぞ。」
ひとしきりの抱擁の後で 智くんを招き入れる。
「はい、おみやげ。」
とケーキの包みを差出し、智くんは部屋に入っていく。
「ありがとう。座って。」
小さなリビングテーブルいっぱいに 料理は並べてある。
「麻有ちゃん、きれいにしているね。女の子の部屋だね。」
珍しそうに部屋の中を眺めていた智くんは ジャケットを脱いで徐々にくつろいだ様子になっていく。