ノクターン

食後、小さなソファに並んでコーヒーを飲む。

智くんに肩を抱かれて 今日あった事を話したりして。

二人で過ごす時間が増えるほど、今の智くんを どんどん好きになっていく。
 


「麻有ちゃん、“ 星の王子さま ” って読んだことある?」
 
「子供の頃に読んだよ。大好きで何度も読み返したわ。点灯男の所が 悲しいけど好きだったの。」


智くんは、ビジネスバッグからタブレットを取り出し、画面を開いた。
 

「土曜日、ここ どお?」

と、私に見せてくれたのは、箱根の “ 星の王子さまミュージアム ” のページだった。
 
「わあ、すてき。行ってみたい!」

指で画面を進めながら。悲鳴をあげてしまう。
 

「じゃあ箱根に決まりね。後でホテル、予約しておくね。」


顔を近付けて、一緒に見ていたタブレットから目を上げる。

智くんと目を合わせると、静かに唇が降りてきた。 
 


二人だけの部屋、智くんのキスは どんどん熱くなる。


唇を離して見つめ合い、また唇を重ねる。


背中に回した掌には力が込められていく。


めくるめくような時間。


このまま、すべてを受け入れたいと思ってしまう。
 

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