えっ?私が男装女子になるなんて!

寒い玄関の前に未だ佇んで動けないでいる私。このままじゃあ不味いよね。


「よし!帰ろ」


息を殺して玄関の鍵を差し込んだ。クルリと回すと、カチャンと音がなり引き抜く、普段なら鍵の音なんて気にもしないのに深夜だと響き渡るのね……

 そーっと扉を開けて顔を覗かせると、目の前に母が居た。



「あなたねえ!いったい何時だと思ってん…………きゃーーーーーーーーーー」


奥からバタバタ足音が聞こえてくる。


「どうしたの!煩いよ、真夜中に幽霊?不審者?って!どうしたのよあんた!その髪は!!!」


お姉ちゃん……厄介な人に見つかっちゃったよ。


「色々あったんだよ。もう眠いのよ!とにかく寝たいから明日ちゃんと話すよ」

「聞きたい!私は今すぐに聞きたい。あんた私の性格知ってるでしょうが!それに多分母さんこのままじゃあ寝れないよ。泣きながら、電話占いに相談してるのが私には目に見えるんだけど」

「私にも見えるよ。でもさぁー……えー眠い……んだよ。本当に」

「この時間が勿体無い!サッサと中に入って、洗いざらい全て話してスッキリして寝れば良いでしょ!さあさあ」



お姉ちゃんに見つかったら逃げれない……この人、我が家で最強だからね。全てにおいて、性格も肉体的にも最強だから仕方ない……諦めよ。

 リビングに座ったら母があったかい梅昆布茶を入れてくれた。これ大好きなの心がホッとするし、落ち着くのよ。日本人に生まれて良かった。

 2人は目の前でガッツリ待ちの状態……私は今日の出来事を仕方なく話した。




「あの男!偶に来てたチャラチャラした奴でしょ!あいつ私にも携帯番号交換しましょうーって言ってたな確か。あーゆタイプ大っ嫌いだから無視してたけどね。あんな奴別れて正解よ!キッパリ忘れて!次よ次!!あんなのに比べればもっとマシな奴などいっぱい居る!」

「お母さんね……その髪と服が気になるわ」

「⁇⁇⁇」


いきなりの意味不明発言に、私と姉は顔を見合わせて???良く分からない。


「だからね!その雰囲気と服があってないのよ。前の可愛い感じの雰囲気ならその服は正解よ。でも今のかっこいい雰囲気じゃあなんか変よね。チグハグよ。お母さん明日暇だから、一緒にお買い物行かない?似合う服買ってあげるから、ちょうどお父さんに商品券貰ったんだ。お母さんねイケメンの子供欲しかったの~嬉しいわ。夢が叶った感じね。今度バイト先にも行ってみたいわ」



この人が母親で助かった。イケメンや可愛いもの占いや不思議な事大好きな、少しだけ風変わりな母で良かった。明日は大学も昼からゆっくり行けば良いから、午前中買い物して昼から大学で大丈夫かな。バイトの書類の為に市役所も行かないといけないし、前のバイト先にも連絡と……忙しいな……

 家族から受け入れられて少しだけホッとしたかなっでも、心の中何か刺さってる様に胸の奥が痛い。彼と親友の事を考えると痛いし怖い。愛美は私の事どう思っているのか聞きたいけど、聞きたくない。違う大学になってからも連絡もとってたし、遊びもしてたのに……なんでこんな事に。



「さあ!もうこんな時間よ貴女達早く寝なさい」

「あー明日会社で会議なんだよ!私寝るわ!歩元気だしなさい。弟ができて嬉しいわ。今度ご飯食べに行こうね見せびらかしたいわ」

「奢ってくれるなら行くーおやすみ。お姉ちゃんお母さん」



私は部屋に入って、そのままの状態でベッドに飛び込み死んだ様に寝た。
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