密室でふたり、イケナイコト。


―――飛び込んできたのは、


閉じた瞳の下に、影ができるくらいの長いまつげと、スッと通った鼻筋。


両頬に感じる、あたたかくて大きなぬくもり。


そして唇に感じるやわらかい感触。



キス、されてる……


それに気づいたのは、触れられてから数秒後。



「んっ…はぁ……」


何度も何度も角度を変えて重なる唇に、うまく息ができなくて鼻から空気が抜けたみたいな、


自分のものじゃないような甘い声に、身体が一気に熱くなっていく。


恥ずかしくて離れようとしても、腰にギュッと腕が回って、


「んんっ……!!」


ツツ―と、掴まれた手首を指で撫でられて、ビクッと反応すれば

ずっと重なっていた唇が、ほんの一瞬離れて。


目を細めて満足そうに笑ったと思ったら、また熱が落とされた。


心臓がバクバクと暴れていて、頭に酸素が回ってないみたいでクラクラする。

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