密室でふたり、イケナイコト。

「ゆずき?
おいっ、ゆずき!!!」


ハッとして、前を向けば心配そうな顔をした成宮がいた。


「ご、ごめん……っ」


「いや、俺の方こそ、責めるような言い方して、悪い」


「い、いや大丈夫……」



昔のことを思い出してしまった。

今はそんなことを考えている場合じゃないのに。


なんて言われるのかが、怖い。


だけど……、

このまま何も言わずに逃げてるだけじゃ、何も始まらない。


逃げてるだけの延長戦じゃ、気づいた気持ちも言えないままになってしまう。


もしそうなったとしても、気持ちを伝えない方が、絶対後悔する。


あの時言っておけば良かったって、後悔したくないから。


早く伝えとけば良かったって、思いたくないから。


前を向いて、成宮に何を言われようと、受け止めなきゃ。



成宮はまっすぐわたしにぶつかってきてくれた。


だから今度はわたしが、

成宮に今まで思っていたことを全部、伝えなきゃ。

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