『先生の色』〜桜の下で始まった恋は、色を変える〜

美術室のドアの前

緊張した



息を止めて中に入ると
先生じゃなくて生徒がひとりいた


制服のリボンの色が1年生だった



「あの…私、1年1組、佐々野(ささの)です
美術部に入りました
よろしくお願いします」



佐々野さん…

確か名簿に…佐々野‥彩(あや)さん



「よろしくお願いします
2年の立花です」



「部長さんですよね
名簿見ました」



「佐々野さん
あやさん?だっけ?」



「彩って書いて
(いろは)って読みます
ささのいろはです」



「ステキな名前〜」



「ありがとうございます
私も先輩の名前好きです
菫先輩」



話しやすくて、かわいい子だった



先輩という呼び方が
なんだかくすぐったかった



まさか美術部で
先輩って呼んでくれる後輩が現れるとは…



佐々野さんは
自分のスケッチブックを持ってた


きっと絵が好きなんだ



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