縁の下の恋


一理の両親は、病室に毎日やって来る。



その日も一理はベッドの上で腹筋をしていた。


「一理?どうだ調子は?頑張ってるな!もうっ、退院出来るんじゃないのか?」



「一理さんっ?…お父様とも、話してるんだけど、退院したら、仕事のことだけれどね?もう一度考え直せば?って…ねぇ?あなた…一理さんっ、この際どうかしら?」



「先日お祖父さま達も見舞いに来てから、そりゃあ大変だったんだ!でも、まぁっ決めるのは一理だから…」


「あなたっ!…森本のお祖父さまの話しを……」



「ええっ!お祖父さまが?何て?」


「一理?退院したら、一度ゆっくり森本のお祖父さまのところへ行ってくれば良いんじゃないかな?色々積もる話しもあるだろうから…」


暫く一理も考え込んでいたが、一理にとっても最も信頼している人物でもある。



「分かりました。必ず伺いますから、お母様から宜しく伝えておいて下さい。退院の日が決まり次第伺う日を決めさせてもらいますね!」


「一理?とにかく今は、焦らなくても、お前の人生は、まだまだこれからなんだから!じっくり考えるのも良いんじゃないか?」


「そうですね!別に…焦ってはいませんから…一理は大丈夫ですよ。」

深雪は、一理を抱き締めながら…


「わたくし達は、何時だって、貴女のことを信じているわ!でもね、何でも一人で決めないで、こんな時ぐらいは話し合わせて頂戴ね?お願いよ!」


「分かりました!お母様…ご心配お掛けしてすみませんでした!」


「貴女のことは…誰よりも、わたくし達、判ってるつもりなのよ!良くって?」
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