縁の下の恋


それからというもの、一理はそっちのけで美優達は盛り上がっていた。


結城に至っては、かなり美優に興味を抱いた様子で、盛んに質問責めをしていた。



そんな中をかいくぐって、美優が一理の側にやって来て小声で耳打ちをした。


「…あの渡辺って人?一理の事根掘り葉掘り訊いてきたけど、もしかして…?」



「何?何でもないからね!仕事の事良く教えて貰っているだけ、それだけなんだから。」


「一理は相変わらず鈍感だからなぁ!判ってないだけのような気がするけど…」



「今は…今の仕事を一日でも早く覚えたいだけなの。」


「まったく…一理ったら!社会人になっても全然変わらないんだから、もうっっ!」



ここまで来ると、美優の声のトーンが大きくなっていた為に源さんに聞こえてしまっていた。


「そこが、お嬢の良いところだろ?やっぱり…あっしが見込んだだけのことはあるってもんさ!そのまま、これから先も、突っ走ってくださいよっ!あっしは、いつまでもお嬢を応援してやすからね!」


「源さん!有難うございます!仕事頑張ります。来月からは暫く来れなくなるかもしれませんけど、また必ず伺いますからね!」



美優に久し振りに会えたことが一理は嬉しかった。


ある意味3人は、違う意味で今日という日をとても有意義に感じたであろうと一理は思って帰路に着いた。
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