戀のウタ

キミの肩

 眠たい目をこすりながら玄関を出ていつもの道を歩く。


 学校に通うためのいつもの坂道。
 高台になっている住宅街の大通りを歩けば右手に山、左手に海が見える。

 天気の良い日は海面に朝日が降り注いでキラキラと光り映画に出てきそうな風景だ。

 生まれてからずっとここに住んでいるアタシにとっては当たり前の景色。
 好きな景色だけど帰りは結構な傾斜の坂道なので辛い。

 それがこの街の唯一の不満な点。


 ゴミ出しをしている近所のおばさんや犬の散歩をするおじいさんにすれ違いざまに挨拶をしながらいつもと変わらぬ風景を眺めながらぼんやりと歩く。

 そしていつものところまで歩いてアタシは左手の腕時計を見た。


 8時5分、いつも通りの時間。

 そろそろかなぁと思って右手にある一戸建てを見上げるとガチャっと玄関の開くの音が聞こえた。
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