戀のウタ

見知らぬキミ

 信号にもあまり引っかからなかったのでアタシが予想していたよりも早い時間に学校に着くことが出来た。

 ポケットに入れた携帯を取り出しサブディスプレイに表示された時間を確認する。


 21:27


 流石に時間が時間だし正門の真ん前に自転車で乗り付けるのもマズイかも。

 アタシはそう考えるとぐるりと学校を半周回って北側にある裏門に移動して自転車を停めた。

 定期考査前や行事ごとの前とかだと先生達が残業してたりするのだが今はこれといった行事はない。

 職員室の明かりも消えているし他の教室も同じように真っ暗だ。


 唯一、非常灯の明かりがぼんやりと光っているが心もとない。
 ウチの学校に七不思議や怪談話はないけどあまり長居したいとは思えない。

 アタシはしんと静まり返った「夜の学校」という少し特殊な空間に滑り込むと持ってきた懐中電灯を点けて足元を照らした。
< 29 / 170 >

この作品をシェア

pagetop