授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
そして引っ越し当日。

「菜穂―! これどこに置けばいい?」

「あ、それはこっちでお願い」

「オケー!」

今日はベーカリーカマチの定休日。午前中から休みの日にも関わらず、聖子が夫婦で引っ越しを手伝ってくれた。ローテーブルやクローゼット、テレビに冷蔵庫などの大型荷物は軽トラックで運んで男手で二階へと搬入され、荷物が少ない分あっという間に半日で作業は終わった。

「ちょっと古い部屋かもしれないけれど、なにか困った事があったらなんでも言ってね」

「うん、ありがとう。聖子、本当に助かる」

「あ、そうだ。これ、引っ越し祝いってわけじゃないけど」

小さなリボンのついた包みを渡され、早速開けて見るとピンク地に白い花柄のハンドタオルが入っていた。

「わ、可愛い!」

「菜穂はピンクが好きだもんね」

ベーカリーカマチのエプロンと三角巾にも似合いそうな可愛らしいハンドタオルに顔を綻ばせる。

「ありがとう! 大切にする」

引っ越しのお礼も兼ねてランチにでも誘おうとしたけれど、あいにく聖子たちは午後から用事があるらしく、私は残念に思いながらひとりで新しい住処を整えることにした。
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