授かったら、エリート弁護士の愛が深まりました
「板垣さん……? あの、なにか?」

失礼します。と言われつつも部屋に入って来られると警戒してしまう。そんな私を察してか、彼は不器用に小さく笑って「綺麗な生け花ですね」とぽつりと呟いた。

「今日は非番なんです。菜穂さんがずっと家にこもってると聞いたもので」

「好きでここにいるわけじゃないんです。できることなら外に出たい」

「ならちょうどよかった。実は菜穂さんを息抜きにドライブに連れて行こうと思ってここへ来たんですよ」

よくよく見ると、その自然な笑顔は優しそうに見える。私に気を遣って、きっと真面目で気さくな人なんだろう。

とにかく一緒に行く相手はどうであれ、さすがに一週間もここにこもりっきりじゃ息苦しかった。外に連れ出してくれるなら、いい気分転換にもなるかもしれない。何かしてなければ、また黒川さんのことを考えて泣いてしまう。

「わかりました。じゃあ、よろしくお願いします」
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