続・隣人はクールな同期でした。

この人はこの人で
自分が言った言葉を思い返して
『恥ずかしい』と照れて顔を赤らめている。

このまま問答していても
平行線のままな気がするな。


「すみません。
 俺はもう戻らないといけないので
 失礼します」


逃げたくなった。

このタイミングで退出する事は最低だが
コレ以上関わっても負の連鎖。


「ねぇ、ジンくんッ」


帰ろうとすると呼び止められ
足早に俺の元に駆け寄ってきたマリカさん。


「あの…コレ…」


そう言ってポケットから出して手渡されたのは
彼女の携帯番号が記されたメモだった。


「…ごめんなさい。
 それは受け取れません。
 俺には大事な人がいるんで
 裏切る事になってしまう」

「そう…だよね。
 なんかごめんね?
 迷惑…だったよね…」


シュンと小さく悲しそうな表情を向けられても
応じる事なんて出来ねぇよ。


「わかってもらえればいいです。
 なので今後は2人きりでは会わない。
 それだけ理解をお願いします」


終始、辛そうな表情のマリカさんだったが
慰めの言葉も掛けず
俺は部屋をあとにした―――
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