ノクターンⅡ
「最近の絵里ちゃん、小さい頃の麻有ちゃんに似てきたわ。」お母様が言う。
「そうですか?絵里加は、智くんに 似ていませんか?」私が聞くと
「顔立ちは、智之似だけど。笑い方とか しぐさが。あの頃の麻有ちゃん そっくり。」
お母様の言葉に 智くんと私は 顔を見合わせてしまう。
「ちょうど 絵里ちゃんくらいの時に 初めて会ったのよね。」
お母様に言われて、私も思い出す。
1年生の夏休み。確かに、絵里加と変わらない。
こんな小さな頃から、智くんと、何かを感じ合っていたなんて。
「でもさ、そう思うと 智之達って 早熟だったよね。こんなに 小さかったんでしょう。」
お兄様は、お父様に抱かれる絵里加の頭を撫でる。
「ちょっと、誤解しないでよ。最初から、恋愛感情持っていた訳じゃないからね。」
智くんが、照れながら言う。私も、頷く。
「当たり前でしょう。」とお母様は笑い、
「でも、仲良かったのよ いつも。何だったのかしらね。」と続けた。
「俺達は 心を分け合って 生まれてきたから。仕方ないんだよ。」
智くんは、照れもせずに言う。
「わあ。何、それ。すごくロマンチック。」お姉様が 歓声を上げる。
「ちょっと。恥ずかしいから。」私は 智くんを見上げる。
「えー。聞きたいよ、麻有ちゃん。」
お兄様に言われて 智くんを見ると 優しく頷いてくれる。