ノクターンⅡ
私が楽屋に向かう途中、絵里加のクラスメイトに声を掛けられる。
「絵里ちゃんママ。絵里ちゃんに会えますか。」
仲良しのお友達が5人、花束を抱えて。
「来てくれたのね。ありがとう。少し待っていてね。絵里加を呼んでくるわね。」
私は楽屋から絵里加を連れ出す。
舞台衣装のままの絵里加は、少し照れながら お友達と話す。
「今日は、ありがとうございます。絵里ちゃん 素敵だったわ。」
子供達を連れてきてくれた 一人のお母様に挨拶をされる。
「こちらこそ、来て頂いてありがとうございます。終わってほっとしました。」
私の言葉に、笑顔で頷いてくれる。
「随分、練習したんでしょう。絵里ちゃん頑張り屋さんだから。」
「本人は好きだから。でも、今回は良い経験になりました。」
そのうち、お父様達も絵里加を見つけて、賑やかな輪になる。
「絵里ちゃん、良かったわ。」
「よく頑張ったね。」
とみんなに抱きしめられて、はにかんで微笑む。
私は絵里加と楽屋に戻る。
着替えと挨拶のために。
途中、すれ違うダンサー達に 絵里加は声をかけてもらう。
絵里加も笑顔で応えている。
一回り、成長した絵里加に、私の胸は熱くなる。