ノクターンⅡ

「でも、努力は報われるんだよね。パパとママは、再会できたんだ。」

智くんが言う。
 
「どこで。」
 
「いつ会えたの?」子供達の声が重なる。
 

「パパもママも、大学を卒業して 就職したでしょう。ママの会社に 偶然パパが来たの。仕事で。」

私が言う。子供達は、顔を見合わせる。
 
「すぐに、わかったの?」絵里加が聞く。
 
「パパが気付いてくれたの。」私は頷く。
 
「ママ、子供の頃と、変わってなかったからね。名刺も交換したし。」智くんが言うと、
 

「それから、付き合ったの?」
 
「それで?」

子供達は、口々に言う。

両親の馴初めは、やっぱり気になるのだろう。
 

「それから結婚までは、早かったよね。」

智くんが、私を見る。私も頷く。
 

「絵里ちゃん達に言うの 恥ずかしいけれど 再会した瞬間に 気付いたの。お互いが運命の人だって。」

私は、照れながら言う。
 
「離れていた時間の 何か足りないような気持ちが 全部無くなったんだよ。」

智くんも言ってくれる。
 


「パパとママ、素敵。」


夢見がちな年頃の絵里加には、憧れるような話しだから。
 
「だから、パパとママは いつまでも仲が良いのか。」

壮馬も、納得したように言う。
 

「パパとママは、会えなかった時間の寂しさを 知っているから。一緒にいる時間を とても大切にしているんだ。」
 

「絵里ちゃんと壮君は、そういうパパとママの 愛を受け継いだ宝物だから。とても大切なの。」私が言うと
 

「ありがとう。」と絵里加が言った。
 

「俺も。ありがとう。」と壮馬も。
 

「パパとママも いつも二人に 生まれて来てくれて ありがとうって思っているよ。」

智くんが言ってくれる。
 


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