twilight sinfonia
ポケットにスマホを押し込んで抱きかかえていたタオルとスポドリを一つずつ俺に渡してくれる。


「そういえばさ、今回の曲手伝うことある?」
「あー……エレキだけだな、今回。」
「あ、了解。できたら譜面頂戴」


瑠南は壁をつたいながら階段をスタスタ降りていく。


俺らの5人の中でギターが弾けるのは琉星と瑠南だけ。その上エレキとなったら瑠南しか弾けない。
ギターは瑠南担当のことが多い。


「何歌うかな……セトリ、セトリ〜、どうしよう……」


小声でぶつぶつ言いながら、なんの躊躇いもなく体幹トレーニングを始める瑠南。
頭の中はライブのことでいっぱいらしい。


今回の1周年記念公演はキャパいっぱいいっぱいまで入れる上に、ライブビューイングも何箇所か用意してもらえることになった。


配信はいつも通り琉星が中心になって進めるけど、ライブの方は瑠南を中心に企画を進めることになったから、最近ずっとこれで悩んでるっぽい。
新しい衣装も作るみたいだし、瑠南の負担もわりとでかかったりする。
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