twilight sinfonia
ラップだけは自分で書いても絶対的に覚えられない。
真面目に口が回らない。寝起きだと余計にきつい。
あー……滑舌良くなれ。


「瀬那」


ガチャリ、とレコーディングルームを覗いたのは瑠南。
メガネをかけてオフモード。Tシャツにゆるいズボンのガッツリ部屋着な感じ。


「手伝いに来た〜」
「んー?琉星に聞いた?」
「うん。音とニュアンスくれたらそこだけ録るよ?」
「それはナイス」


瑠南のパートを20分くらい教え込むと、いい感じに覚えてくれて、俺が1人でやるよりか早く録音が終わった。


「さんきゅ」
「いいよ。昨日のお礼」


チラッと俺のことを一瞥して隣の椅子に腰掛ける。


「マッサージありがとね、それに、部屋まで運んでくれたでしょ」
「まぁ。前より軽くなってた」


密室で2人。どうしようもないくらい、意識してしまってる、俺。
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