熱海温泉 つくも神様のお宿で花嫁修業いたします
 

「あの……。八雲さんには、私から伝えてもいいですか?」


 花の問いにぽん太はキョトンと目を丸くしたが、すぐにフッと息をこぼすように穏やかな笑みを浮かべる。


「今朝のことも、謝りたいし……」

「あい、わかった。そもそも、デザートバイキングは花の発案じゃしのぅ。花が伝えるのが一番だら」


 「行ってこい」と背中を押してくれたぽん太に、花は表情を明るくして「ありがとうございます」とお礼を言った。


「それじゃあ私、早速八雲さんのところに──」


 けれど、そう言った花が踵を返そうとしたとき、ぽん太がとても穏やかかつ力強い声で、花のことを引き止めた。


「……花。お前さんは、決して情けなくなんか無いぞい」

「え……」


 突然のぽん太の言葉に、花は驚いて振り返る。

 すると、花を見て穏やかな笑みを浮かべる三人の姿が目に入った。


 
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