メヌエット ~絵里加
25

食事を終えて、外に出る。

やっと暗くなった横浜の街に、イルミネーションが輝く。

絵里加の肩を抱いて、汽車道を歩く。


瞬く観覧車の光は、二人を無口にしてしまう。

運河を走る遊覧船を見送って、健吾は絵里加をベンチに誘う。
 

二人は、ただ静かに夜景を眺める。

お互いが同じ思いと戦っていて、それをわかっていた。

何か言ったら。少しでも動いたら、一歩踏み出してしまう。

絵里加の肩を抱く健吾の指が そっと滑った時 絵里加は健吾の胸に顔を寄せる。


愛おしさが溢れて、健吾は絵里加を抱きしめる。


両腕で絵里加の頭を、自分の胸に抱き寄せて。
 

しばらく じっと抱き合って お互いの鼓動を確かめあった後で 健吾はそっと絵里加の顔を持ち上げた。

一瞬、潤んだ目で健吾を見て 絵里加は静かに目を閉じる。


健吾は、優しく唇を 絵里加の唇に落とす。

最初はそっと触れるだけで。


一度離して、すぐにまた触れてしまう。熱く、長く。


絵里加の柔らかな感触は、健吾を捉えて離さない。

絵里加の体から 徐々に力が抜けていき 肩を抱く健吾の腕に 重みがかかる。


今まで遊びで交わした、どのキスとも違う。

我を忘れるような昂りに 健吾はそっと唇を話す。



ブレーキが効くうちに。
 



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