悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
「な、なに、馬鹿なことを言ってるのよ!」

 ソニアの言葉に、レオンティーナは動揺した。それはもう激しく動揺した。
 ヴィルヘルムのことが一番好き――いや、今はそんなことを考えている場合ではないのに。

「私の目には、そう見えます。ヴィルヘルム殿下と一緒の時、お嬢様は一番いいお顔になっていますもの」
「そ、そう? そうかしら?」

 上ずった声で言い、レオンティーナは頬に両手を当てた。そこまで、わかりやすかっただろうか。
 自分の中でも、この気持ちになんという名前をつけたらいいものかまだよくわかっていないというのに、周囲の人達にはこれが恋に見えているのだろうか。
 高まる胸の鼓動を、どうしたらいいのか自分でもわからない。

「……でも、よくない兆候ではあるわよね」

 馬車の外を見ながら、レオンティーナはつぶやいた。
 まだ、アンドレアスを敵に回すわけにはいかない。皇妃もアンドレアスも、正面きってヴィルヘルムを敵に回しているわけではない。
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