悪役令嬢は二度目の人生で返り咲く~破滅エンドを回避して、恋も帝位もいただきます~
 螺旋階段を上がり、右手の三番目の部屋。そこが前世でのレオンティーナの部屋だった。
 レオンティーナは迷うことなく、その部屋の扉を開いた。

(……変わってない――!)

 そこは、レオンティーナの記憶にあるのとほぼ同じ部屋だった。
 置かれている家具はレオンティーナの知っているものであるけれど、寝具のカバーやカーテンが、幼い少女向けという点が違いといえば違いか。
 カーテンは明るい青。カーペットは、白に近い薄い水色から紺色にいたるまで、青系の色を何色か組み合わせて織り上げたもの。
 棚の上には、人形がいくつも飾られているし、書棚に置かれているのは、幼い少女向けの優しい読み物とマナーの教本だ。

「……よくわかったわね。ここがあなたの部屋よ」

 あとから階段を上ってきた母が、ようやくレオンティーナに追いついた。

(やっちゃった……!)

 レオンティーナは動揺した。たぶん、たいした問題にはならないはずだ。前世の記憶があるなんて、誰も信じないだろうから。

「なんとなく、そんな気がしたのよ。お母様!」

 これでごまかされてくれればいいがどうだろう。
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