僕の1番大切な人【リニューアル版】
もう何度もそう思ってきた。


そう、何度も...


だけど、どんなに苦しくても、僕は、その苦しみから逃れる方法を知らない。


そんな方法なんて、存在するのか?


あるとすれば、それは、兄さんへの裏切りになるんだよな…


そんなこと…出来ない。


じゃあ、一体どうすればいい?


『いいね、その服。かっこいい』


考えごとしてたから、突然の褒め言葉に驚いた。


『いつもどこで洋服とか買ってるの?私、オシャレは苦手だから、凌馬君のセンスがうらやましいな』


そんな事ない、姉さんは…充分素敵だ。


シンプルで上品な洋服を、とても上手に着こなしている。


身長は165cmくらいかな?


スリムな体に、少し茶色にそめた長い髪をひとつに束ねている。


自然なゆるいウェーブが、姉さんの大人の女性の魅力を引き出していた。
< 20 / 96 >

この作品をシェア

pagetop