僕の1番大切な人【リニューアル版】
『兄さん、姉さん以外の女の人と付き合ってるよね。この前、兄さんが、女の人と一緒にいるところを偶然見かけた』


『そっか…見られてたんだ…嘘はつけないな。ああ、お前の言う通りだ』


『いつから?会社の人?』


『悪いが、お前には関係ない』


『関係なくないよ!』


僕は、思わず、自分でも驚くくらいムキになって叫んだ。


『愛美が好きだからか?』


兄さんは、いたって冷静に、そのひとことを言った。


ムキになってる自分が、まるで子どもみたいに思えるくらいに…


僕は、息を飲んだ。


『お前が愛美を好きなのは、ずっと見ていて気づいていたよ。最近は、本気だったんだろ?』


『…そんなこと…』


それ以上、僕は、何も言えなかった。


『お前は弱虫だ。愛美が好きなら告白すれば良かったんだ。愛美も考えたかも知れない。凌馬といる方があいつは…』


本気で言ってるのか?


兄さんは、姉さんのことをそんな風に見てたのか?


兄さんは、何もわかってない。
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