エリート御曹司が花嫁にご指名です
「汐里?」
「私はチャペルで挙げたいです。優成さんは和装でも洋装でも素敵だと思いますけど、和装は私、似合わないかと」
「そうか? 汐里の白無垢姿は美しいと思うが」

 女心を喜ばせる言葉をサラッと言ってのける桜宮専務に、過去の女性たちを思い出す。

 実際に会ったのはひとりしかいない。それも偶然に。今でも覚えているのは、とびきりの美人だったこと。
 
 桜宮専務は髪にそっと口づけを落とす。こんなにも異性から触れられたことのない私は、戸惑ってしまう。

「今晩、ご両親は在宅か? 結婚の承諾をもらいに行きたい」
「えっ? りょ、両親ですか……?」

 考え事から引き戻されて、ハッと身体を起こして、目をパチクリさせる。

「どうして驚く? それよりも、いい眺めなんだが?」

 彼の視線を追った私は、胸を晒していたことに気づき、布団の中に隠す。

「そうされると……」

 桜宮専務が呟きを止めた次の瞬間、私の身体が反転し、クラシックな壁紙が美しいクリーム色の天井が目に飛び込んできた。

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