俺と、甘いキスを。
最後の告白

二月十四日。
心から想い続ける男性に、気持ちを打ち明ける日。

甘い、甘い、恋心。

それは都心から離れた、このオオトリ技術開発研究所も例外ではなかった。

いつもは森林の香りが漂う駐車場も、いつもは循環して常に綺麗な空気である事務所も、いつもは美味しそうな匂いをしている食堂も。いつもは薬品と金属の匂いが充満している研究室も。

この日はどこにいても甘いチョコレートの香りがして、私の鼻は正気を失っていた。

私は書類を片手に、イライラする気持ちを抑えながら、別棟にある柏原研究室へ内線電話をかける。そして相手の「はーい、柏原研究室でぇす」と、甘ったるい女性の声に更にイラッと眉間に皺を寄せた。
「事務所の川畑です。メールでコピー機のカートリッジの注文依頼がありましたが、品番を教えてもえますか」
仕事だ、仕事だ、と自身に言い聞かせながら、いつもどおりの口調で話す。

『えー?だって最後のカートリッジも使っちゃってぇ、品番のついた箱も捨てちゃったんですよぉ。そっちで調べてもらえたらわかると思いますけどぉ』

面倒くさそうな口調も語尾を伸ばす話し方も、神経を逆撫でされて頭痛がしそうだ。
一度、耳から受話器を外して大きく深呼吸をして、再度受話器を耳に当てる。
「前にも連絡してありますが、研究所で扱っている備品は種類が多いのでストック管理もしっかりして、全て使い切る前に品名と品番を明確にして注文メールをするように通達していますが…」
と、「こっちも困るのだ」というニュアンスを醸し出してみたが、言い終わる前に相手が「はいはい」と言い出した。
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