【女の事件】豚小屋

最終回

5月7日の停電の一件が原因で、忠興は無気力状態におちいったのと同時に、部屋に引きこもった。

鎮房の両親は、高校を卒業していない忠興がどのようにすれば本気になって生きて行くことが出来るのだろうかと想って頭を痛めていた。

停電の一件は今も調査中なので、まだ結論は出ていない。

しかし、忠興自身は『ぼくは何をやっても失敗ばかりが続くから長続きできん!!』と言うばかりであったたので、話し合いができない…

実家へ帰っても、両親は下のきょうだいたち5人の方がかわいいかわいいと言うて忠興をないがしろにしているから、帰る家はない。

そうなれば、県外へ出す以外に他はなかった。

しかし、今の忠興の状態はどこへ行っても長続きすることができないでので、受け入れてくださる会社なんかない…

5月12日の夕方のことであった。

忠興は、鎮房の両親と今後のことについて話し合っていたが、ケツレツした。

忠興は鎮房から『出て行け!!』と怒鳴られたので、鎮房とドカバキの大ゲンカを起こして家出した。

恐ろしい悲劇は、その翌日に発生した。

5月13日の朝方のことであった。

忠興は、ちづるに電話をして実家の両親と5人のきょうだいたちを汚水曹に沈めて殺したと言うたのを最後に音信不通になった。

ちづるは、忠興が岐阜県にある無人の豚小屋にいることを聞いたので、事件現場の豚小屋へ向かった。

同じ頃であった。

あいこは、ようすけを保育園に預けた後にマクドのパートさんたち8人と一緒に岐阜県中津川市上野宮ノ洞(うえのみやのほら)にあるふれあい農園へ遊びに行った。

気持ちがしんどくなったあいこは、みんなから離れてどこかへ行った。

そのときにあいこは、事件現場の豚小屋へ迷い込んでしまった。

ここは一体どこなのよ…

こわい…

早く逃げたい…

あいこは、必死になって出口を探していたが、迷ってばかりいた。

それから70分後のことであった。

あいこは、豚小屋の裏にある汚水曹に親子7人が浮いている状態で亡くなっていたのを目撃した。

「ギャァァァァァァァァァァァァァ!!」

激しい叫び声をあげたあいこは、その場から逃げ出した。

しかし、豚小屋の内部が迷路状の構造になっていたので、迷ってばかりいた。

そんな時であった。

「イヤ!!イヤ!!離して!!離して!!離して!!」

あいこは、豚小屋の中に隠れていた恐ろしい覆面をかぶっている男20人につかまった後、豚小屋の奥へ連れて行かれた。

それから8時間後のことであった。

家出をした忠興を探していたちづるが、豚小屋に入った。

ちづるは、必死になって忠興を呼んでいた。

「忠興さん…忠興さん…」

しかし、いくら呼んでも応答がなかったので、ちづるはますます困惑していた。

それから30分後のことであった。

ちづるは、ボロボロに傷ついて倒れているあいこを発見したので、思わずゼックした。

「あいこさん…あいこさん!!ねえあいこさん!!」

ちづるは、必死になってあいこを呼んでいたが、あいこの身体は冷たくなっていたのでちづるの呼びかけに反応しなかった。

「ウソ…ウソでしょ…あいこさん…あいこさん!!」

ちづるは、強烈な叫び声をあげて泣いていた。

家出をした忠興は、依然として行方不明のままであった。

恐ろしい悲劇は、より大きなつめあとを残して幕を閉じる。

【おわり】
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