~fault~私だけが・・・
私達はこの半年の間キス以上の事はなにも無かった。

無かったと言うよりそれは優斗の優しさで
付き合って3ヵ月経った頃一応それなりの状況になった事があった。
でも私はあの日の事が思い出されて震えが止まらなくなってしまった。
すごく驚いた優斗が『オレのこと怖い?』って悲しそうに言われた瞬間、涙が止まらずパニックになってしまった。

そんな私を、優斗は優しくしっかり抱きしめ何も聞かずに落ち着くのを待ちながら
何度も謝る私に『大丈夫?オレの方こそゴメン』って・・・

優斗は何も悪くない。いつまで経っても弱虫な自分がダメだって繰り返す私に困った顔をした優斗が『どう言う事?聞いてもイイかな?』て伺うように聞いてきた。

自分から言い出したことなのにそれっきり何も言えなくなった私に
『ごめん。無理しないで。もう何も言わなくていいから』優斗がどこまでも優しくて泣きながら話しをはじめた。



『中学3年の時付き合ってた人が居たの』
『うん』

『2つ年上の人で優斗みたいに優しい人だった。』
『うん』

『その日は勉強を一緒にする事になっていて初めて彼の家に行った』
『・・・もーイイよ。渉。』

震える私をさっき以上に強く優しく抱きしめてくれた優斗にはきっと何が起こったのか想像が出来たんだよね。
腕の中で震え泣きながら声にすると
『わかったから、もうイイから、ごめんな。そんな事思い出させて。ごめん、ごめんな渉!』って優斗も泣いていた。

優斗にしがみつき涙が止まらない私に、
渉は弱虫なんかじゃないよ、話してくれてありがとう。って抱き寄せ頭を撫でそれ以上は何も言わず静かに一緒の時間を共有してくれた。

それからの優斗は私のキモチ第一でずっと見守ってくれていた。
大丈夫な気がした。優斗ならって、大丈夫な気がした。


チャイムを押す。
ドアがゆっくり開くと、そこにはホッとしたような優しい笑顔で私を見る優斗が居た。


< 27 / 93 >

この作品をシェア

pagetop