~fault~私だけが・・・
そんなタイプの違う4人にも共通する所があった。
それは4人それぞれ表現方法が違う、『優しさ』

それがあるから4人ともいままで付き合ってくることが出来た気がしている。
周りの友達に言わせれば、私のポジションは贅沢だし羨ましいことなんだそう・・・(笑)
私のポジション?ポジションって笑えるけど友達たちはいつも真剣にそう訴える。

ただの幼馴染なんだけどな・・・




「お~い!わたる!坪井~渉~!」これは樹。
「何ボーッとしてんだよ(笑)」これは新。
「帰るよ。」これは央。
「・・・おせ~っての(笑)」これは匠。


そしてこの男のような名前「坪井 渉(つぼいわたる)」が私の名前。
建築に興味がある私は央と同じ美大の建築学科に進学が決まっている。
おじいちゃんが建築士、父がインテリアデザイナー、母が空間コーディネーターという環境の元
これまたもれなくな感じで同じような道に進む・・・ことになるのかな。

でも将来に関しては親がどうのこうのではなく自分が決めたこと。

小さい頃からおじいちゃんの仕事に興味があった。
紙の上でのことが現実に目の前に広がることが小さいながらに不思議で惹き込まれていったから・・・

後になって母から聞いた事。
『おじいちゃまがココの住宅の設計に関わってるのよ』って。

すごく驚いた。
私達が住んでた一角はモダンな建物がご近所でも評判で私達5人の自慢の家だったから・・・

『どうしておじいちゃんは言わないの?』って聞いたら
『おじいちゃまはね住んでる人の生の声が聞きたいんだって。良くも悪くも聞こえる声をね』って母が内緒よってこっそり教えてくれた。

中学生の子供ながらに『じいちゃんスゴイな』って思った。
住んでる人の声を聞いておじいちゃんの家が完成するんだって。
その時に私の進む道がハッキリしたきがする。

高2の時に亡くなったおじちゃんだけど、母との内緒の約束は今も守っているから
ウチの家族以外そのことは4家族みんな知らない事。

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