~fault~私だけが・・・
第4章

幼馴染とオレの・・・

あれから5年、オレ達は大学2年になっていた。

「あれ~匠(笑)どうしたの」
「こんにちは。匠くん」
渉と優斗さんだった。

「待ち合わせ?」
「まぁ、ね。そっちはデート」
「うん。ね~」
「ぁっはは(笑)うん。だね」
「そりゃそりゃ仲がよろしいこと」
「うん。じゃあねーまたね匠」

笠間さんの腕にしっかり腕を回しとっびっきりの笑顔でそう言った渉。
そんな渉を優しい顔で見つめ微笑みながら「じゃ匠くんまたね」って言った笠間さん。
そんな2人のうしろ姿をオレはかなり複雑な思いで見送った。

渉の過去を知るオレ。
辛い過去があった渉があんなにも幸せそうな笑顔で笠間さんに甘えられている。
それはきっと笠間さんに大切にしてもらってる証拠だから渉の事ことを思えば
幼馴染としても家族としても本当にうれしい事でなんの心配もない。
あの時の渉の顔も言葉もどれもひとつひとつオレは覚えている。
あんなに辛そうな渉の顔も言葉も忘れられるはずはなくて今でも色々な感情が込み上げることがある。

でも渉を見ていると忘れられたのかもしれないなって思う時があるほどで
それだって本当はそうあってほしい。忘れられたならそれが一番だから・・・
どれもこれも、なにもかも、渉の周りに優しい時間が流れてることは感じてる。
今、渉が笑えている要因は全てが笠間さんなんだって事がこの2年あまりでわかった。

そしてこの1年で自分の気持ちに気付き、事あるごとに思い知らされる2人の姿はオレの中でも認めざるを得ない現実。
空っぽな心のまま、相変わらずモテてはいたけど(笑)誰とも付き合う気にもならず
なんとなく大学生活を続けていた。


待ち合わせ(笑)んなもんねーよ。でも良かったのかなこれで。あいつ乗り越えたって事だよな。
それで良しとするかっ

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