芸能人の幼なじみと、内緒のキスしちゃいました。
カウントが始まる前。
身体ごとじゃなくて、首だけくるっと後ろに向けたら悝世と目が合った。
「……ちゃんとこっち向いて。
依茉のかわいー顔もっと見せて」
「っ、」
肩をつかまれて、そのまま身体の向きがくるりと反対側を向いた。
こんな近い距離…キスできそうな。
幼なじみの距離じゃない。
もうとっくにそんなの超えてる。
感覚が麻痺してる。
こんなふうにひとつのベッドで抱き合ってることとか、触れ合ってることとか。
どうして……こんなに近いのに。
気持ちはいつまでもわからないまま……なの。
頭の中で考えることと気持ちがうまく追いついていかなくて、ごちゃごちゃ。
そんなわたしに追い討ちをかけるように。
「ねぇ、依茉。いっこ教えてよ」
少しの沈黙のあと。
真剣な瞳がわたしをとらえて。
「……俺は依茉にとってなに?」