シンフォニー ~樹
33

思いやりと 愛情に溢れた家族の 神聖な涙を止めたのは 父だった。

思いっきり 鼻をかむ大きな音に みんなの涙が止まる。
 

「ちょっと。」と言う母の声と
 
「お父さん。」

と言う樹の声が重なる。


そして、みんなが フッと微笑む。

それを 満足そうに見つめる お祖父様の笑顔が見える気がした。


明るい笑顔が 大好きな お祖父様だったから。

みんなも 同じように感じたのだろう。

リビングの空気が 悲しみから 温かい微笑みに変わった。
 


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