シンフォニー ~樹
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翌日 ご両親と一緒に 樹の家に来た恭子は いつもより改まっていた。

お互い ご挨拶が済み 樹と恭子の話題になる。
 

「恭子ちゃん、素直で可愛くて。つい引き留めてしまっていて。」

と母が言うと、
 
「いいえ。こちらこそ、ずっとお世話になっていて。申し訳なくて。」

と恭子のお母さんが言う。
 


「絵里加達のように 新居をと思って二人に相談したら 恭子ちゃん 最初から同居すると言ってくれて。」

父の言葉に、恭子もご両親も笑顔で頷く。
 
「今から こんなにお世話になっていて。恭子は 本当に可愛がって頂いているからです。私達は何も心配していません。」

お父さんの言葉に 父と母は 嬉しそうに微笑む。
 


「もしご承知頂けましたら 恭子ちゃんのことは 家族全員で守るつもりです。」

父が言うと 恭子は 嬉しそうに樹を見上げた。
 

「恭子は 言い出したらきかない子です。わがままで ご迷惑をおかけしますが よろしくお願いします。」

お父さんの言葉に お母さんも一緒に頭を下げる。
 

「ちゃんと お母様のいう事をきいて ご迷惑をかけないようにできるんだろう?」

お父さんが、恭子に言う。


「私 ここで 一緒に暮らしたいって ずっと思っていたけれど お祖父ちゃんの時に 絶対住むって決めたの。あの時 まだ結婚していない私を みんなが 家族と同じに扱ってくれて。だから、この家で お母さん達と一緒に暮らして 本当の家族になりたいの。」

恭子は 強い言葉で言う。
 
「恭子ちゃん。」と言う母。
 
「ありがとう。」と言う父。

樹は 無言で恭子に頷く。


とても感激して、胸が熱くて 言葉にならなかった。
 



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