シンフォニー ~樹
47

恭子の両親は 樹に とても温かく 接してくれる。

樹の家にいる時と同じように、家事をする恭子に、
 
「驚いたわ。恭子が 料理をするなんて。」

とお母さんは言う。
 
「あたりまえでしょう。私 樹さんの 奥様だもの。」

と誇らしげに 恭子は微笑む。
 

「しかも恭子 とても優しくなって。樹さんとご両親が 相当 可愛がって下さるからだわ。」

とお母さんは感激する。
 
「恭子は 最初から 素直な優しい子でしたよ。」

と樹は言って恭子を見る。

得意気に頷く恭子。
 

「樹君、あまり褒めないでくれよ。恭子は 頭に乗るタイプだから。」

とお父さんも、嬉しそうに言う。

頬を膨らます恭子も可愛くて、
 

「本当に可愛くて。恭子を こんなに 素直に育ててくれた お父さんとお母さんに 感謝しています。」

と樹も笑顔になる。
 


夕食後は お父さんと 仕事の話しをする。

父や智くんとは 違う視点で、樹に アドバイスしてくれるお父さん。
 

「樹君、会社経営って 最後は人柄だから。自分の欲ばかり考えている人は 失敗するんだよ。誠意を持って 取り組めば大丈夫。樹君なら 絶対 うまくいくよ。」

と心強いことを言ってくれる。
 

そう言えば、お祖父様も 同じようなことを 言っていた。


いつも回りに感謝をしていた。


自分を支えてくれる人には 自分も できるだけのことをする。


お祖父様は、最後まで そんな風に生きていた。



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