松菱くんのご執心
帰り道わたしは考え事をしながら帰った。



日が沈みかけ晩景が顔を出す頃、カチカチと街灯がつきだす。



 わたしは今日、何度も迂闊に口が滑りそうになった。


聞きたいという純粋な好奇心と、聞いてはいけないと脳内の警告信号が、カチカチと灯っては消え、


灯っては消えを繰り返していた。


それはもう、不安定に点滅を繰り返す街灯のように。



 児童相談所の人が来ていた、そして、その三木さんに松菱くんは絶大な信頼を置いている。


それがどういうことを意味するのか、わたしは考えていた。



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